season's cake 001 1/1




『まどか』


月が揺れる
欠けた月が揺れる
円(まどか)になりたくて 揺れる
振り子のように 揺れる

湿った目で見上げた夜空には兎なんていない
細い琥珀色の弓に射抜かれて もう何処にもいない

ああ、あの弓は何かに似ている
僕のそばにあったもの
僕のそばを離れたもの
そうそれは
僕の背中に傷を残した 君の爪のカタチ

君のいない夜に、円になれない僕は空を見上げる
兎を探したくて 空を見上げる
湿った目から、君の思い出が溢れて溶ける
背中の傷は
今でも痛んで 君を忘れさせない

もう会えないけれど
それでも
僕は、
いつでも君のことを




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