season's cake 039 1/1




『アンバランス』


抱き上げた躰の重みが、意外に腕に堪えた。
――どうしてだろう。

付き合い始める前から、君は何も変わらない。
髪型も、化粧も、体型も、仕草も。
待ちくたびれてソファで転寝る首の、傾いだその角度さえ。

何一つ、決して俺の色に染まりはしない強さ。
それを愛しいと思っていた。
愛しいと、思っていた。
焦りを覚えるまでの俺は。

君に出会って変わった俺と、いつまでも変わらない君。
俺からしてみれば、それはアンバランス以外のなにものでもないんだ。
ただいつも穏やかに微笑んでくれるよりも、
時には激しく求めてくれたら。
むしろ求めすぎているのは俺の方だと、単なる我儘だとわかっているけど。
でも、そうしたら、愛されているという自信も湧くのに。

見えない不安に飲み込まれて、
君に戻る岸辺が見つからない。
せめて君が目を開ける前に、心をそばに帰したいのに。

この夜に囚われて、独り。
いつまで彷徨い続ければ、この闇から抜け出せる…?




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