season's cake 041 1/1
『フィルター』
伸びた前髪が、僕の視界の邪魔をする。
斜のかかった世界は、熱に浮かされた心を麻痺させる。
――丁度いい。
あのままあなたを見つめ続けていたら、
自分が自分であることさえ、忘れてしまいそうだったから。
明瞭さをなくした世界で、
いつものように、あなたは笑う。
笑って、泣いて、怒って、……
それは僕に起因する感情なの?
それとも別の誰か?
どっちでも構わない。
どうせもう何も感じない。どうせもう反応できない。
どんな愛の言葉にだって、動かされない。
今更気づいて見つめてきたりなんて、しても無駄。
…だって、はじめに僕を壊したのはあなた。
踏みにじって僕を壊したのは、あなた。
綺麗で優しくて、その何倍も酷い、あなた。
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