season's cake 070 1/1




『指』


あなたの指が遠ざかる

その瞬間
わたしが震えていたことを
あなたは覚えていてくれるのでしょうか

あなたの指が遠ざかる

例えば涙が流れ落ちるように
この想いが消えてしまえば
どんなにいいかと思ったことでしょう

あなたの指が遠ざかる

困らせるだけの想いだと
わかってはいたのです
けれど
止めようのない自身を
上手くコントロールなどできるはずもなく

誰かのものだとわかっていながら
僅かの温もりに縋りついてしまいたく
離れなくてはとわかっていながら
この指はぴくりとも動かず

その瞬間
ただあなただけがわたしの全てで

けれど

あなたの指は遠ざかる

最後まで触れ合うことのなかった指が
今でもこんなに“愛しい”と
あなたを呼んでやまないのです

あなたの指が遠ざかっても




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