season's cake 088 1/1




『オンナゴコロ』


「…あ」

アイロンをかけていたはずのシャツには、そのアイロンの所為で大きな皺がくっきりとついてしまっていた。
無駄に広い布地がいけないのよと責任転嫁なことを思いつつも、それでも転嫁しきれずに私はぷしゅっと霧を吹く。
そこだけ色濃くなったシャツの上を、右手が1往復。

少し泣いただけで赤くなる顔だとか、
呑んでもちっとも変わらない顔色だとか、
せっかく傍にいるんだからもう少し可愛くいれたらいいのに、だとか。

シャツの上、うまく消しきれない皺に思うのは、どれだけの月日を経ても諦めきれないオンナゴコロ。
明日の朝、「しょうがないな」って顔をしてシャツを羽織るあなたを期待する、そんなオンナゴコロ。

お互い余裕ぶってるけど、本当はすごく気にしてる、
あなたのココロの中、占めてるはずの私の位置。

アイロンのかけられたシャツ、消しきれずにうっすらと残る皺。
あなたの背中、治りきらずにうっすらと残る傷。

凪いだココロにも私の痕跡は見つけていたい、そんなオンナゴコロ。




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