showcase 003 1/1




『time limit』


 あまり自惚れないでくれないか。

 確かに私は「君に全て捧げよう」と言った。
「君のためなら何も惜しくはない」と言った。

 ――けれどそれが、一時の熱情でないとどうして言い切れる?

 心はさしずめ季節のように、天気のように移ろうものだと、君はよく知っているはずだ。
 そうやって私の求めに応じて、他の手を振りほどいてきたはずだ。
 それなのに、
 君と同じことを私はしないと、どうして簡単に言い切れる?

「私には君が全てなんだ」
 そう言って捧げる愛を、何をしても許される、そんな馬鹿げた寛容さと勘違いしないでくれないか。
 私も人だ。嫉妬くらいするし、余裕や許容にも限度がある。
 与えるだけ与えて見返りを求めない、物語の中の聖者なんかじゃない。
 いつまでも特別でいられると、どうして信じられる?
「君に永遠を誓う」
 そんな言葉だけで、どうして何も疑わずに居られるんだ。

 他所を向くよりも、振り向いて確かめる事の方が、ずっとずっと大事だろう。

 このまま気付いてくれないのなら、
 君を失ったところで、私に欠けるものなど何もないと言ってしまうよ。
 はじめから何もなかったように、私は変わらず生きていける。

 風が吹いて、
 ただ少し、季節が流れて変わっただけだと。
 移ろいゆくものに、懐かしさなど感じもしないで。

 振り向くなら今だ。
 君のために、他の何を捨ててもいいと思えるうちに。


 -fin-


special thanks for 甲都




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