showcase 015 2/2




『play for real』


 いつもそう。
 ふたりきりになると、君を取り巻く空気がとたんに色を変える。
 ぱたんと閉まったドアを確認したら、振り向いたそこに。
 いつもの、にこやかでお人よしで少し抜けた鼻にかかる声なんて、まるで嘘みたいな――君の二面性。

「…ねぇ」

 グロスを塗った唇から、囁き。
 本当に欲しいものなら、具体的な言葉にはしない。

「…ねぇ」
「…なに」

 決して自分から口にする事はない、卑怯者。
 わかっていて俺がすることなんて、ひとつしかない。


 寂しいと背に縋る君の、求める指先を引き剥がして。
 ――拒絶、するふり。


 ほら。
 そうやって眉根を寄せて、潤んだ目で見上げてくるのは、計算された媚態だって知ってるよ。
 君はそれでも、手の平の上で俺を躍らせてるつもりらしいけど。
 本気にさせたいなら、もっと乱れてみせなよ。
 まぁ、嫌いじゃないから、お誘いには遠慮なく乗りますけど。
 踊らされてるふり、しながらさ。

 でも、最後に勝つのは俺だから。


 なかなか愛の言葉を言わない唇を抉じ開けて、指を入れたら酷く噛み付かれた。
 見上げてくる紅く染まった目尻が、笑みの形に歪んで。
 この、猛獣。
 じんとした痛みが、滴りを舐める感触で劣情に変換される。
 今夜君を苛めて、支配して、涙も枯れるまで。
 際限ないカラダを、容赦なくあげよう、なんて。
 そんなことを思ってしまう俺は、多分かなりの末期症状。
 ――溺れてるのは、一体どっち?


 Let' s play for real.
 いつだって真剣勝負な理由だなんて、そんなのとっくに解ってるだろう?


 本音の愛情を互いに隠したまま、熱に浮かされよう。
 どちらかが負けを認めるまで、挑みあう夜が、今、はじまる。


 -fin-




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