showcase 019 2/2




「俺の分は抱き枕ひとつでいいからな」
 人肌恋しい季節とはよく言ったもんで、毛布より何より体温が一番温かくて心地いい。
 もう少しすると冷え症な身体はこっちが温めてやらなきゃいけないような温度になるが、分け与えて温むのも、こいつにならまぁ悪くない。
「うち、抱き枕はないよ? 今度買っておこうか?」
「…馬鹿かお前は」
 なんだその脱力する答えはよ。
「馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ、知ってた?」
「……」
 なんだその気の強さは。さっきの躊躇い傷はどこ行った?
「ばーか」
 もう一度暴言を吐いて、そんな事はいいから早くイイ声聞かせろと言ったら、瞬間湯沸器なお前がピーっと噴いた。
 ははは、面白ぇ。
「帰れエロオヤジ!」
 …エロはいいけどオヤジかよ。今ちょっと凹んだよ、俺。
「あーその発言で傷ついた。慰めろ」
 いいから充電させろ。
 有無を言わさず抱き寄せて、いっそ傲慢でさえある想いを押しつける。


 肩を掴んだ指先から、体温を。
 触れた唇から、アイシテルを。
 容量なんて軽くオーバーして。
 いっそ貪欲に、お前からも。

 恋しいのは声でも人肌でもなく、ただお前だけ。
 ちゃんと受け入れて応えてくれる、お前だけ。
 だからお前も同じだけ欲しがればいいんだ。
 想いのベクトルなら、いつだって重なってるから。

 素直に欲しがるなら、いくらだってくれてやるから。


「…っふ」
「なに、こんくらいでもう酸欠?」
「…煩いエロオヤジ」
「お前、それ連発するなら俺帰るぞ」
「……やだ」

 ほらな。
 電波越しじゃなきゃ、しがみつく腕が、素直にワンコールの先を呼ぶだろ。
 呼べば応えてやるから。ちゃんと。



 忘れんな。
 俺を満たしてくれるのはお前だけだってこと。
 お前を満たしてやれるのも俺だけだってこと。
 だから忘れんな。
 いつだって望む方向に繋がるから、お前もちゃんと手を伸ばして。
 ちゃんと俺と、繋がってろ。


 -fin-


reproduced 【bless you!】
special thanks for ハル




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