star sugar 014 1/5




ver.14.1


 無視してしまうことができない。
 黙っていることもできない。
 頬に感じる真っ直ぐな視線に、
 今は、愛しさよりも居心地の悪さが勝っている。

 想う気持ちは優しくて甘いなんていうのは嘘だ。
 それだけじゃないのを私たちは知っているし、だからこそ喧嘩したりもする。

「あ、そこ右に曲がって」
「…あのお店はこの間も行ったからパス」

 助手席のナビの指示を却下して、私は左のウィンカーを点滅させる。
 素直になれないのは、全部明け渡してしまった時に私が私でなくなるような気がしているからだ。
 ひとりでは何もできない、そんなのは私じゃない。
 だけど、そんな私でも全部受け止めてしまいそうなあなただから、私は余計に意地を張ってしまう。

「大丈夫だよ、閉店までまだ時間あるし…」
「うるさい。運転してるのは私だから私が決めるの」

 寄りかかるだけの女にはならない。
 あなたと同じ強さで引き合っていける、そんな心を育てたいから。


featuring 『timeserver』




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