star sugar 015 4/5




ver.15.4


 いつもの時間なのにまだ薄暗い外は、穏やかな目覚めでほんの少しの幸せをくれた。
 タイマーの切れた扇風機と、蹴飛ばさなくなったタオルケット。
 季節が巡りゆこうとしている、そんな夜明けの変化を肌で知る一瞬に、自然へ還るような喜びがある。
 ――解き放たれて、どこかへ。
 夢の続きのような心地よさに、しがらみなんていうものを忘れたくなる――
 それは現状に満足していないという心の顕れだろうか。
「……んん」
 頭の後ろで唸る声は、昨晩の呑み過ぎが祟ったのか、それとも夢見が悪いのか。
 …勘がいいのか、悪いのか。
 その深呼吸が私の髪を揺らした、そんな気配がした。
「…おはよう?」
 振り向かないままの挨拶に、返事はない。
 ただ、寝返りとまではいかない身じろぎに、スプリングの弱くなったベッドが責める音でぎしりと軋んだ。

 寝違えた首と、痺れた腕。
 夜を越えた先で、徐々に自由がきかなくなる体を、私は持て余している。
 このまま夏を終わらせたら――いつまでも痛み続けるのは、私の方だろうか。




  back
  next

  star sugar
  menu
  home