star sugar 016 3/5
ver.16.3
「そうだ、今度鉢植えの花買ってやるからな」
「…は?」
「枯らさないように世話しろよ?」
「いきなりなんの話してんの」
ソファーに並んで座る、態度の大きなその膝を私の膝にこつりとぶつけて、花屋なんて到底似合わない顔をしたあいつが言った。
「だっておまえの香水、これジャスミンだろ」
最近ずっとこの匂いだろ、よっぽど好きらしいから買ってやる。
そう言って私のシャツの襟を引く、邪な手を無言ではたくと、あいつは「あ痛っ」と抗議の声。
「俺なにか間違えたか?」なんて言いたげな顔は、けれど一瞬にして口元を歪ませて、ふてぶてしい見慣れたそれになった。
「ああそうか、おまえが好きなのは“俺のこと”だったな」
「……」
そう言ってニヤリと笑った顔がとにかく憎たらしかったのだけれど、図星な私は何も言えない。
ジャスミンの花言葉は――『あなたはわたしのもの』。
どうやらあいつに気づかれたらしいその香りの意味を説いてみせるため、それから僅かな対抗の意味もこめて、私は絡めた指を自分の方へ強く引いた。
featuring 口説き文句バトン 『花』
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