star sugar 017 5/5




ver.17.5


 携帯電話のディスプレイには誰の名前もなく、
 ただ、非通知の着信音が鳴り止まずに震えている。
 私は不審に思うこともなく、
 ただ、通話のためのボタンを押した。

 ――もしもし、

 聞きなれた、けれど登録されることのない声を、
 そこから先の展開を、
 私が密かに待っていることを、彼はちゃんと知っている。

 いつからだろう、彼の声に安堵を覚えるようになったのは。
 いつからだろう、彼の声に期待を抱くようになったのは。

 通話を終え、折り畳んだ携帯電話は、
 電気のせいではなく、私の体温のせいでもなく、
 やけに熱を孕んでいる。

 私はそれを嬉しく思いながら、いそいそと身支度を整える。


featuring『じゃあ、また』
BGM : 『輪舞』




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