collabo 002 1/1
『君の名は―――2』
佐倉大本営研究所、略して秘研にまたしても忍び寄る禍々しい黒い影───
その夜、佐倉大本営研究所所長コードネーム:ダークグリーンは何時ものようにデスクワークに追われていた。
部屋のライトはついておらず、真っ暗な所長室で唯一の光源と言えばパソコンのディスプレイのみ。
その光に吸い寄せられるように二本の白い腕が伸び、男の背後から怪しく絡み付く。
来たな…?
ダークグリーンは腕を振払い後ろを向いた。
そこにいたのはまたしても黒い振袖を着た黒髪の美人だった。
遊女のように胸元をはだけさせているが、その胸は恐ろしい程貧弱だった。発展途上のアイリス以下だ。
こんなに乳のない女は本当に珍しい。
常日頃参謀の豊満な乳房に見なれていたダークグリーンはついまじまじとその胸元をみつめてしまった。
が、すぐ我に返り謎の振袖美人に問いつめた。
「メルメル?メルメルメ、メルメルメ、メルメルメルメル!メルメルメ〜!」
訳:何者だお前は?秘研のセキュリティを突破してどうやって潜入して来た!答えろ!
完璧だ…。ダークグリーンはこの日の為に完璧にマスターしたウマゴン語に自分自身感動していた。
普段なら絶対行かない少年マンガコーナーに赴き所員達にバレない様「金色のガッシュ」を大人買いし、所長室で読みふけったあの日…。
マンガだけでは発音がわからずCDショップに足を運びガッシュ関連のCD並びにDVDを全部購入し、血の滲むようなヒアリング特訓を続けたあの日々が今、色鮮やかに蘇る。
とにかくこれで意思疎通は完璧だ。
完璧ついでに言わせてもらうと、今のダークグリーンは「チチをもげ!」も「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」も完璧に歌えてしまう。ダンスだって完璧だ。
さあ来い、私のウマゴン語は完全無欠にパーフェクトだ!シュナイダーの名に掛けて!!
美人は大きな黒い瞳で所長、いやシュナイダーを見つめると真顔で答えた。
「なにふざけた事いってるんですか団長?」
だ、団長?
またしてもシュナイダーの頭の中が真っ白になる。
「同盟軍があの狂皇子、ルカ・ブライトを撃ち破ったのですよ!?」
「皇子?同盟軍??」
「今こそ我等騎士団も同盟軍に加わる時です!」
「…め…メルメルメ?」
「あの赤月帝国を撃ち破った時のように、卑劣きわまりない悪のハイランド国を退け正義の力を見せる時です団長!メルメルメなんて言ってないで!!」
またしても会話が通じず暫しの沈黙の後、再び美人が口を開く。
「佐倉大本営研究所所長コードネーム:ダークグリーン、いや本名マクシミリアン・シュナイダー!!
マクシミリアンを名乗る者ならマクシミリアン騎士団ぐらいきちんと頭に入れとクとでスよバーカバーカ、更にバ−カ!!」
再び神をも恐れぬ捨て台詞を吐き、美人は闇夜に溶けて消えた。
翌日…
「っはよーございまーす所長!」
「クリムゾンか…。突然だがマクシミリアン騎士団ってなんだ?」
「マクシミリアン騎士団…あぁ幻水の」
「知っているのか?」
「あ〜幻想水滸伝ってプレステのゲームがあるんスけどその終盤ごろに登場する最強の兵力を誇る騎士団なんっすよ。その団長のマクシミリアンじいさんがまた鼻がでかくてヤンチャくれたじいさんで──ってアレ所長ドコいくんすか〜?」
「CD屋だ」
その後所長室でゲームに明け暮れる所長の姿を見た者がいたとかいないとかいう話。
-fin-
special thanks for 相沢友弘@【NEW WORLD(仮)】
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