collabo 003 1/1
『Dandelion』
草木の生えていない荒野で幼い少女が1人、大声泣いている。
「どうしたのこんな所で。パパやママは?」
フードを深く被った旅人らしい娘が少女に声をかける。
「まどの外がピカーって光ったと思ったらパパもママもお家も、全部、焼けて…。土も何も育たなくなっちゃって…」
「そう…ごめんなさいね」
娘は泣きじゃくる少女の頭を優しく撫でると小さな紙袋とボトルを取り出し小さな手に握らせた。
「これは?」
「お花の種とお水よ。あなたがコレでこの土地を生き返らせるの」
「でも、ココの土はもう…」
「信じればどんな事だって出来るわ。それに一面の花畑を作れば天国のパパとママも大喜びよ」
娘の力強い励ましに元気づけられたのか、少女は種を握りしめて頷いた。
「うん、やってみる!ありがとう優しいお姉ちゃん!!」
「アイリス、何をしている。行くぞ」
遠くでフードを被った少年が娘を呼ぶ。
「それじゃあ、頑張ってね」
アイリス、と呼ばれた娘はそのまま遠くに行ってしまった。
「さっきの子供は何だ」
「実験の生き残りみたいね。散布予定のナノシードと水を与えておいたわ」
「そうか」
荒野を一望出来る丘の上で二人はフードを脱ぎ捨てた。
そこから現われたのは菫色の髪の美少女と紺色の髪の少年だった。二人とも揃いの白衣を着ている。
「さっきの子、ありがとうですって。優しいおねえちゃんなんて言われちゃったわ」
「優しいが聞いて呆れるな。実験であの地区一帯を草木も育たぬ死の土地にした張本人のクセに」
「それなら私の実験に便乗してユニも土壌改善ナノシードの実験をしてるじゃないの。
私の実験でこうなる事は予測してたんでしょ?だったらあなたも同罪だわ」
アイリスはクスリと笑って少年を見た。
「まさかココまでひどくなる事は予測していない」
「実験開始ギリギリなって回路組み換えたのがいけなかったかしら?」
「帰って検証するか」
「そうね。内緒で郊外実験した事所長にバレないように書類破棄しなきゃならないし。後始末って大変ね」
「それは僕のセリフだ」
荒野に背を向け白衣を翻し、アイリスとユニは研究所に戻っていく。
風に翻る二つの小さな白は荒野から見るとまるでたんぽぽの綿毛のようだった。
-fin-
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