collabo 004 1/1




『君の名は―――3』


 佐倉大本営研究所略して秘研所長、例のごとく深夜の研究室で仕事を片付けていた。
 パソコンのディスプレイの灯りに誘われるように、黒のネイルを塗った白い手が伸びて彼に妖しくまとわりつく。

「来たな……?」

 所長は口の端を軽く釣り上げると、逃げられない様その手を強く握りしめた。
「今日こそ逃がさんぞ?お前の為に私はわざわざウマゴン語も華麗なるマクシミリアン騎士団の歴史も、さらにはあのシンダル語の解読法まで会得したのだ!ウマゴンロックだって乳もげ音頭だって音階を違えずに正確に歌える!!
 もう私は完璧だ、シュナイダーとしてもマクシミリアンとしても!!
 さぁ今日こそ名乗ってもらおうか、お前は一体───」
 振り向きざまに、そのまま硬直した。
「最近アナタが深夜に謎の振袖美女と密会しているって噂を聞いてカマを掛けてみたら…まさか本当だったなんてねぇ………」
 そこに立っていたのはいつもの振袖美人ではなく、正真正銘彼の恋人、秘研の参謀サーモンピンク女史そのひとだったのだ!!
「相手の特徴は黒髪に白い肌、透き通るような白い手に良く映える黒のマニキュアを塗っているそうで?
 それで密会時には貴方の背後から彼女が腕を絡ませて?
 それで、貴方はその手に塗られたマニキュアで私か彼女かを判断するんですってよ?
 黒のネイルなんて私普段は絶対やらないけれど…」
 しかし彼女の指先にきらめくのは黒地に白の雪結晶とラインストーンをちりばめたネイルチップ。
「もうすぐクリスマスだし、ホワイトクリスマスっぽくてイイ思って付けちゃったの」
 言い方はかわいらしいが、サーモンピンクの顔はまるで夜叉の形相だ。
「浮気は許さなくてよ、マクシム?」
「ち、ちょっと待てサーモンピンク!いや紗嵐!!コレには訳が───」
「問答無用!!!!!」
 所長の断末魔が深夜の研究所に響き渡った。


 さて、この一部始終を天井裏の換気口から終始見守る人物がいた。
 例の謎の振袖美人である。
「フッフッフ。情報操作はワタクシの十八番。所長が黒ネイルの謎のオリエンタルビューティと浮気してイるといウ噂を流させてイタだきまスた。
 所長ダークグリーン、いやマクシミリアン・シュナイダー。
 秘研一の色男を名乗るなら恋人とそれ以外の女の区別ぐらい気配で気付くガ当然なノデす」
 妖しい微笑と共に呟くと、美人は換気口内を通り抜け、何喰わぬ顔で研究所を後にした。


 -fin-


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