collabo 005 3/3
***
「「「「!!!!」」」」
声にならない声を上げて、4人が一斉にドアを向く。
「…なんなの皆して」
その反応っぷりにちょっと不快感を表した声でサーモンピンクが問えば、4人が揃って首を横に振った。
ぷるぷるぷるぷる。
「「「気にしないで〜…」」」
「な、なな何でもない何でもないからねッ」
明らかに不審な動きをした流石の足を、パールホワイトが踏む。
「ぐッ」
「…流石さん?」
「あ…あはははは」
涙目で笑って誤魔化す流石の後ろでは、クリムゾンとアイリスがアイコンタクトで会話しようと試みていた。
サーモンピンクにあの噂を知られるのはマズイ。それだけは絶対に避けなければならない。
「…(どうすりゃいい!?)」
「…(どうしよどうしよ!?)」
「「…」」
テレパシーが使えればいいのだが、生憎とそのような特殊技能はどちらも持ち合わせていないので、アイコンタクトはあえなく失敗に終わる。
「…(あ)」
「?」
何か思いついたらしい顔のクリムゾンの顔の横に、アイリスがそっと耳を寄せた。
クリムゾンが、ごくごく小さな声で、
「メルメ…」
囁こうとした時に、急にサーモンピンクの顔つきが変わった。
ぐりん、と首が回って、クリムゾンを真っ直ぐ睨みつける。迫力に気圧されたクリムゾンがうろたえる。
「あ…の、えっと…」
「クリムゾン、あなた、『メルメルメ〜』って何か知ってるわよね」
「「!!」」
参謀が『ガッシュ』を知るはずはないから、ウマゴン語で対策会議を開けば絶対に通じないはずだ。そう踏んでいたクリムゾンは、驚愕に目を見開いた。問いかけと言うよりほぼ断定の台詞に固まる。
アイリスもその隣で同じ姿勢で固まった。何でウマゴン語知ってるのサーちゃん!?
「『メルメルメ〜』って、何かしら?」
サーモンピンクは流石の後ろで不審な動きをしているクリムゾンとアイリスを見逃していなかった。と言うか会議室に入った時点で、4人が何か隠しているのは明白だったからだ。
…そりゃそうだ。
探りをかけていたら、クリムゾンが何処かで聞いたことがある言葉を発したので、間髪入れずにカマをかけてみたら、この通り。
「参謀、一体どこでその台詞を?」
恐る恐るといった体でパールホワイトが訊き返すのに、微笑を浮かべてサーモンピンクが言う。
因みに、参謀の笑顔は本心を伴わないことも多々あるので要注意、というのは秘研の一般常識である。
「ちょっと――所長が、ね」
「「「「!!!!」」」」
その途端、目の前の4人が一斉に「ムンクの叫び」ポーズを取った。
…あら、みーんなやっぱり何か知ってるんじゃないの。
微笑よりももう少しだけ口角を上げた笑顔で、サーモンピンクは尚詰め寄る。
「あなたたち、知ってることは吐いちゃいなさい?」
「「「「!!!!」」」」
ムンクな4人が、今度は息を止めた。
「『メルメルメ〜』って、何かな?」
ん?
パーティー会場にでも放り込んだらいくらでも男が釣れそうな物凄い笑顔だが、目だけが笑っていない。
男性陣は皆見蕩れるどころか、冷や汗を垂らしてコチーンと固まった。この笑顔の威力は、痛いほどよく知っている。
表情筋を総動員した薄ら笑いで、吹き荒れるブリザードをやり過ごす一同の顔を散々眺め回したサーモンピンクは、最後にアイリスの方を向いた。
「アイリスちゃん…?」
猫なで声に、駄目押しのにっこり。
「…(///)」
多分世界で一番大好きなモノに位置しているであろうその素晴らしく艶のある笑みを前に、アイリスは実にあっさりと所長を売り飛ばした。
***
そんな彼たちと彼女たちの頭上で、換気口が小さくカシャンと音を立てた。
取り込み中の面々にその音が聞こえるはずもなく、勿論その音を立てた人物も聞こえるはずがないと確信した上での挑戦的なアピールだったのだが。
――そう。
幹部会開催中の会議室の真上に、侵入者がひとり。
換気口の蓋を鳴らした指が、下からの光に白く浮かび上がっている。
「フフフ」
紅をはいた唇が、格子の向こうの喜劇を見て、笑みのかたちをつくった。
「ちょろいでスね。ワタクシの手ニかかれば、秘研なンてこんなモノでスよ」
…本当はチょっとアブなかっタでスけど。
白い手に黒い爪の持ち主はそう言ってフフフと笑い、長い着物の裾を埃で白く染めながら、ずるずるとその場を後にした。
-fin-
reproduced 【NEW WORLD(仮)】
special thanks for 相沢友弘
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