collabo 026 2/2




 もしかしたらこの身体は自分の身体ではなくて、どこかの国の戦士と入れ替わってしまったのかも知れない。

 サーモンピンクは喉まで出かけた言葉を飲み込んだ。
 自分の身体が何らかの原因でこのように変化したのならともかく、どこかの誰かと入れ替わったなんてそれこそ考えられない。漫画や小説じゃあるまいし。
 だいたいその考えで押し進めるなら入れ替わった対象である肉体AとBが極めて近しい関係である事が前提だ。仮説として上げるならサーモンピンクとマクシムの肉体が入れ替わると言う事はあるかもしれないが、サーモンピンクと全く面識のないこの男の身体にサーモンピンクの精神が入る事はまず有り得ない。
 それにもしそれが現実だったとしたら、この身体の持ち主の精神はサーモンピンクの美しい肉体に入ってしまっていると言う事になる。しかもその肉体は今現在どこにあるのかもわからない。
 男の身体の黒さから見て南米赤道近くの国の人間であると言う事は間違いないだろうが、そこで男が普段と変わらず猛獣と戦っていたりしたら? ジャングルが多いと変な疫病に掛かるかも知れないし、日焼け対策なんてまずやってくれないだろうから肌が一瞬でボロボロになる事請け合いだ!

「そんなのイヤすぎる!」
 サーモンピンクは頭を抱えた。
「直腸検査はそんなにイヤだったかサーモンピンク。すまない、少しでも多くのデータをそろえようとする余り私は君のいやがる事を無理矢理……」
 サーモンピンクが不毛な妄想から現実に戻ると、恋人が申し訳なさそうに頭を下げていた。
「最近のCTは数cm単位で体内断面を見る事が可能だからな。時間は掛かるが体内診断はそれで見ていく事にしよう」
 マクシムは非常に残念そうな顔をしながら所長室奥にある最新のCTスキャン機の前にサーモンピンクを案内してくれた。
 妄想中にマクシムが一体何を話していたのか、サーモンピンクはあまり考えない事にする。
 巨大なカプセルのような機体にサーモンピンクの巨体を横たわらせ、マクシムは機械の操作をしようとした。

 が。

「は〜いラプソディー出張サービスですよー」
 ノックもナシに所長室の扉が開き、そこからマクシムの長年の悪友が姿を表した。
「さ、流石!? コーヒーなど頼んでいないぞ!?
 さてはお前また振袖美人だな!? 流石に化けて何しに来た!!」
「しっつれーしちゃうねこの男は。正真正銘本物の流石サンですよ俺様は。
 コーヒーはお優しい俺様からの純粋なサービスで、本当はちょっと話したい事あってきたんだけどサ−ちゃんは? 朝から見当たらないんだけどコッチ来てない?」
「し、知らないが」
 マクシムは流石から目を逸らしつつ、バスケットのなかのコーヒーポットを受け取った。
 サーモンピンク本人は所長室の奥にいるのだが、まさか『見知らぬ大男に変わったから会わせる事が出来ません』などと口が裂けてもマクシムの口から言えなかった。
「あー反応怪しいぞ? 隠すなよマクシム、サ−ちゃんコッチ来てるんだろ? 今回は仕事の話だからお前の独占欲で隠されても困るんだよ〜。サ−ちゃんがセクシー半裸ショットだったら俺目ェつぶって話すからさ」
 いや確かにお前の言う通り半裸なんですけどね私のサーモンピンクさんは。
 だけどお前の思い描いてるようなセクシー半裸とは訳が違うんだよ。
 あの変貌ぶりを見たら流石、お前なんか泣くぞ? 泣いちゃうぞ?
 でも仕事の話と言っているしな……本当に困っているみたいだし目をつぶらせてでも彼女に会わせるべきか……
 マクシムが仕事と彼女のプライバシーの間で揺れ動いていたその時だった。
「今呼ばれた気がしたんだけど…って、アラ流石さん?」
 所長室の奥からノシノシと重圧な足音をさせ、筋肉で覆われた上半身を惜し気もなく晒したサーモンピンクと、入口でゴネ続けていた流石の視線がバッチリ合った。


 to be continued...


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