collabo 028 1/2




『希望の轍』5


 流石からの召集令から30分後、所長室にやってきたのはクリムゾンとクリ(ニセ)だけであった。
「ンだよコレだけしか集まってねぇのかよ。ったく所長代理様をナメやがって…お前等ンとこの変態オヤジはどうしたよ?」
「知りませんよ、お義父さん。僕達だって探してるんですから」
 クリ(ニセ)が冷静そのものの声で流石に返す。
 流石の娘、寧とクリ(ニセ)はいわゆる『清らかなおつきあい』をしている仲である。それはゴシップ大好き秘研所員の間ではもはや一般常識だった。
「俺様のカワイイ寧ちゃんと付き合っている事は認めるけどね、でもまだ『お義父さん』と呼ばせる事は認めてないぞゴルァ!」
「やめないか流石!」
 マクシムが壁の中から声を荒げる。
 サーモンピンクによって壁に半分めり込んだマクシムの身体は今だ抜ける様子はなかった。
「それよりもお前達、パールホワイト博士を探してるというのはどう言う事だ」
「所長のソレは新しい遊びですかー?」
「私の話はいい! 博士はどうしたと聞いている!」
 クリムゾンの質問はマクシムの鋭利な眼光一発でなかった事にされてしまった。
「ココ数日全く姿を見せていないんですよウチの父は。家にも帰って来ていない」
「俺達は心配もなにもしてないんだけど、親父がいないとお袋と花涼が寂しがっちゃってさー」
 ココに来れば連れ戻せると思ったんだけど、とクリムゾンとクリ(ニセ)の双子の兄弟は顔を見合わせた。
「あの奥さん大好き子煩悩親父が帰っていない? そりゃ怪しいなぁ」
「どう言う事っすか?」
「イヤ実は……」
 ココで流石は初めて変わり果てた姿のサーモンピンクを二人に紹介し、所長代理として事情を説明した。

「だーからサーちゃんの身体を元に戻す為の協力と、サーちゃんが元に戻る為の仕事分配について相談しようと思ったのにさー。お前等だけじゃどーにもなんないよ」
「失礼ですねお義父さん。クリムゾンならともかく僕は優秀そのものですよ」
「クリ(ニセ)…お前なんか性格変わってない?」
「気のせいです」
 クリ(ニセ)はきっぱりと言い切った。
「へーコレが美貌の参謀の変わり果てた姿かぁ〜」
 格闘マニアのクリムゾンはサーモンピンクの鍛え抜かれた筋肉にすっかり興味を示し、あちこちベタベタ触りまくっている。
「っか〜! イイじゃんイイじゃん!! 大胸筋も腹筋もメチャクチャ固いし!!
 運動もプロテインもナシでこんな実践的な筋肉の身体をイキナリ手に入れたなんて最高じゃないっすか!! あーもう是非とも参謀と手合わせしてェ〜!!」
「やめろクリムゾン! お前もああなりたいか!」
 無謀な事を言い出すクリムゾンに、流石は真っ青になって壁に埋まったマクシムを指さした。
「うえぇ、そんなに危険なんだこの身体。勿体無い」
「失礼ね、手合わせするならちゃんと手加減してあげるわよ」
 サーモンピンクも口を尖らせる。
「そういや参謀も結構好戦的ですよね。『下克上ならいつでもカモン』ですし」
「外見がソレだから接待面はともかくとしても、中身が参謀であることは変わんねーんだろ?
 だったらいっそ俺ら幹部だけにじゃなくて、全面的にこの事オープンにしちゃった方がいいんじゃないスかね?
 皆がこの事実を認めた上で、参謀の変異は外にはもらさない。俺達幹部に余計な仕事は増えない、増えたとしても精々外交程度だし?
 参謀は下克上所か世界征服できそうな最強の肉体を手に入れて、毎日強いヤツと戦えて万々歳。なんかもう完璧じゃね? いいじゃんこのままで」
 好き勝手な事を言い始めた双子(主にクリムゾン)達に、今やもうすっかり突っ込み係として定着した所長代理、御厨流石が止めに入った。
「待てマテまてコラこの悪魔のモンッチッチ共め! サ−ちゃんが元に戻らなかったら大変なんだってさっき散々説明しただろーよ!!
 なにより常日頃マクシムサ−ちゃんバカップルと、お前らントコの変態親父の変態プレイのゴシップによって成り立っている俺達広報部はどうなるのさ!!」
 ……前言撤回。常に引っ掻き回している立場のアイドル流石の突っ込みはやっぱり微妙にズレていた。
「いんじゃね? 流石さんにゃあ悪いけど、広報部なんてあってもなくても同じだって。
 ホントに面白い噂なら流さなくても勝手に広がっていくもんだしさ」
「あんまり考えたくありませんが、今どき男同士の恋愛も珍しくありませんしね。
 二人の愛が本物ならそのままでも十分この先愛を育む事ができるでしょう。男の身体だって本気で突っ込もうと思えば突っ込めそうな穴がきちんと存在するんですから、身体の方の愛もなんの問題もありませんよ」
 あくまでも淡々と答えるクリ(ニセ)に男達の誰もが恐怖した。




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