collabo 030 2/2
「紫の薬は何者かに摺り替えられていた!! 私が薬と思って飲んでいたのはただのウェルチだった!!
そしてなにも知らないこの加齢臭がウェルチだと思って私の薬を飲み干して、まんまとサーちゃんの身体を我がモノにしてしまったのよ!!」
アイリスは忌々し気にサーモンピンクの巨体を指さした。
叩き割られて床上に飛び散ったガラスの破片が悲しげに輝く。
「アイリスちゃん…そんな所まで思いつめていたのね…」
サーモンピンクは太い腕を広げてアイリスの身体を優しく抱きしめた。
「やめろ! はなせオヤジ臭い!!」
アイリスはサーモンピンクの腕の中で暴れたが、今のサーモンピンクの身体の前にはどんな攻撃も無意味だった。
「バカねぇアイリスちゃん…」
サーモンピンクはまるで子猫でも扱うように無骨な指でアイリスの髪を撫でる。
「貴女だって私にはない、素敵な魅力をたくさん持っているじゃない…例えば……」
囁きかける低い声がアイリスの身体に心地良く響く。
アイリスはサーモンピンクの優しさと、そして暖かさを全身で感じるようにうっとりと眼を閉じた。
それに答えるように、抱き締めるサーモンピンクの腕に少しずつ力が入る。
「例えば…そう若さとか……若さとか………それから主に若さとか!!」
「キャー! サーちゃんギブ、ギブギブ!!」
「うっさい小娘風情が!!
薬物なんぞで私の甘く熟した果実の肉体を手に入れようとしている事が、そもそもの間違いなんだッつーのバーカ!!」
メリメリと背骨が軋む音がする。ソレが折れる音に変わったと同時に、アイリスの身体は軟体動物のようにだらりと下がり、そのまま床上に落ちたのだった。
「やりすぎちゃったぁ、テへ★」
床に落ちたアイリスの小さな身体を暫し見下ろした後、サーモンピンクは可愛らしい仕草で舌を出し、自分の拳でコツンと自分の頭を叩いた。
イヤイヤイヤイヤ、やりすぎちゃったぁ★どころの騒ぎじゃすまないからソレ!! と、今の彼女に突っ込める勇者は今この室内には存在しなかった。
* * *
アイリスの作った『入れ代わり薬』の資料や実験レポートはラボを探せばすぐ発見する事ができた。
彼女も厳重なトラップを張ってその資料を守っていたようだが、同じ秘研幹部でありそして最強の肉体を手に入れたサーモンピンクの前には無駄な抵抗でしかなかった。
「これで薬を作り直すのは簡単だけど、問題はこの最強の肉体の持ち主をどうやって探すかよねぇ」
数枚のMOディスクを前にしてサーモンピンクは腕を組んだ。
「どーせ一週間で元に戻るんなら自然に戻るのを待ちましょうよ参謀」
クリムゾンが脳天気な声を上げる。
「そういう訳にもいかないっしょ。この制御の聞かない凶悪バディをいつまでも野放しに出来ないよ」
目の前で何度もその凶悪ぶりを目の当たりにしてしまった流石としてはソレを止めない訳に行かなかった。
「それにホレ、この身体の持ち主だって絶対困っているって。早く探して元に戻してあげないと。サーちゃんの身体を変に使われても困るでしょ?」
「例えば性的玩具ですとか」
畳み掛けるように繰り出す流石の台詞をクリ(ニセ)が簡潔且つ効果的に後押しする。
「そうねぇ…この身体も結構慣れて来たけれど、私の身体を玩具にされるのは困るわね…。
まずは南米大陸から検索を掛けてみましょうか。それから赤道直下の国周辺を順番に探せばこの身体の身元が絶対判明するはずよ」
「ソの必要はありまソンよ」
頭上から奇妙な訛りの声が振って来る。
「まさか…この声は……!?」
流石が天井を見上げると、天井のパネルが一枚はずれてそこから黒い人影が落ちて来た。
「振袖美人!?」
「おひさしュブりです。そろソロこちらもお色気路線が必要でしょうト思いマして」
振袖美人───シェラサは艶然と微笑んでから天井の穴に声を掛けた。
「ほ〜らゼノンきゅん、アナタのお探し物が見つカリましたヨ? 恥ずかしガラずに降りていらッシャい」
天井からは何の反応もなかったが、それでもシェラサは根気良く声を掛け続けて5分少々。小柄な人影が音もなく着地し、すぐさま黒い振袖の影に隠れた。
ほんの一瞬しか見えなかったが、間違いない。
それは紛れもなく、サーモンピンク本来の身体であった。
to be continued...
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