collabo 033 2/2




 一頻り泣いてスッキリしたところで、ゼノンは一つ気付いた事があった。
 原因は不明だが、もし自分の外見が女体に変わってしまっただけだとすれば、ゼノン自身の魔力や精霊を見る為の脳内回路はきちんと保存されているはずである。男から女に変化したとしてもゼノン自身の本質は同じである以上、身体のどこかに面影であるとか何らかの共通点があるはずだ。
 だが今のゼノンの身体にはそれが何もなかった。
 術に使う為の魔力もなくなり、生まれた頃から傍にいた精霊の姿も見れなくなった。肌の色も髪も元の自分と一切違っている。
 そして何より、特殊部隊としての数々の死闘を物語るゼノンの古傷の跡の数々が、この白い身体のドコにも残されていない。

 と、言う事はこれは自分の身体が変化したものではない。
 全く知らない女性の肉体の中にゼノンの精神が入ってしまったのではなかろうか?

 そんな魔法があるなどゼノンは聞いた事がないが、魔法の進化は日進月歩だそうだ。どこかの国では新魔法を次々開発して各国に売り捌いているという話を以前チェリルから聞いた事がある。
 もしかしたら『美女とマッチョダンディーの外と中身を入れ替える魔法』なんてものが開発されてしまったのかも知れない。そんな魔法を作ってどんなメリットがあるのかはゼノンにはわからないが、少なくとも魔法を受けた方の精神的ダメージは絶大である事は、今のゼノンが身を持って証明している。
 だとするとますます大変だ。今ゼノンの精神がこの女性の身体に入っていると言う事は、この女性の精神がゼノンの身体に入っていると言う事になる。
 ゼノンのあの身体は危険なのだ。うっかり目を会わせてしまえば相手が催眠状態に落ち入ってしまう上、何か話し掛けると100%催眠術として成立してしまう。見つめあうと素直におしゃべり出来ない身体なのである。
 さらにあの身体で肩を叩いたり何気ないコミュニケーションを取ろうものなら、相手が遥か空の彼方に飛ばされてしまう。頭を叩いたら相手は地面にめり込んでしまうだろう。
 それらは28年あの身体を使い慣れていたゼノンだから手加減できたのだ。あの身体を使い慣れない他人が同様にそれをやろうものなら殺人事件が起きてしまう。
 それに何よりあの身体は───

 ゼノンは自分のクローゼットから数少ない衣服を引っぱり出した。
 探しに行くのだ、自分自身の身体を。元に戻る術はその後で考えればいい。
 その為には何でもいいから衣類を着る必要があった。
 だがしかし、当然の事ながらクローゼットの中には以前の身体に合わせたサイズの服しかない。
 今のこの女性の身体に筋肉質の男の私服は余りにもサイズが合わな過ぎた。
 シャツは袖の長さが合わずだれ下がり、手持ちのパンツで一番小さいのを穿いた上で皮のベルトを絞めたのだが、それでもゼノンの腰回りはブカブカだった。
 胸回りと尻回りはピッタリなのに何故胴回りだけが合わないのだ。
 女のデタラメな身体に舌打ちしつつも、どうにか外に出られるだけの身なりを作り、ゼノンは外へ出ようとした。だがしかし───
「おきているかいゼノン、私だ。上がらせてもらうよ」
 軽いノックの音の後、ガチャガチャとカギをあける音がして、聞き覚えのある低い男の声が聞えて来た。
 入って来たのは事もあろうかこの城、いやこの国の若き主。ジェラルディン3世その人であった。


 to be continued...


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