collabo 036 2/2
シェラサは小動物が大好きだ。
「最近貴族達の間でペットを飼うのが流行ってるんだけどさぁ」
広場の市場の中で見つけた出店式ペットショップの『商品』を眺めてながらジェラが話しだす。
「昔は犬とか猫とか小動物だったけど、今は魔獣を品種改良して小さく害の無い愛玩動物として売出しちゃうんだから凄いよねー」
二人の前にはビンの中に入っているスライム達が鎮座していた。赤、青、黄など色とりどりのスライムは時折小刻みに震えて『買って買って』と頻りにアピールしている。
この店は改良魔獣専用店だった。ペットショップなのにまともな店構えが持てず、出店で彼方此方商売場所を移しかえている理由が良くわかる。
「ウチの伯父上も緑丸って名前のスライム飼ってるんだけど、あんな動かないし時折触り心地楽しむだけの生き物なんか飼って一体ドコが楽しいんだろうね?」
「触り心地って、触った事あるんデスカ」
「冷たくて意外とクセになる」
ジェラは店の主人と一言二言話し掛けてから、青いスライムのビンを受け取るとそのビンをあけて中のスライムを取り出した。
「ペットに触るのはOKなんだって。せっかくだから触ってみるかい?」
ジェラは手の上からデロドロと垂れ下がる青いスライムをゼノンの前に差し出した。
「イイ! いらない!! 皮膚が溶ける!!!」
「まぁそう言わずに」
ジェラはゼノンの小さな両手にスライムを落とした。さっきのクリームの仕返しである事は言う間でも無い。
「キャ━━━━━!!!」
絹を裂くようなゼノンの悲鳴が市場にこだました。
シェラサは小動物が大好きだ。
「小動物がスキって言ってるのに改良魔獣見に行ってどうするんだジェラのバカぁ!」
「あーもうさっきから悪かったと言っているだろう。大体君もあんなの相手に悲鳴上げ過ぎだよ」
「切り捨てるのと触って可愛がるのは別!」
ゼノンは涙目でまだ喚き散らしている。
「怒らない怒らない。可愛い顔が台なしだよゼノン」
ジェラはゼノンの栗色の髪を撫でると、お詫びだと言って裏道へと連れ込んだ。
ジェラに手をひかれて入り組んだ裏道の奥へ奥へと入って行くと、そこにあったのは小洒落たビストロレストランだった。
裏路地にあるせいか、それともまだ昼前の時間だからか、客はジェラとゼノンの二人だけのようだ。
白と黒と濃いグリーンのみの色でシンプルに構成された洒落た内装のその店は、普段ゼノンが食べに行くような定食屋や寂れた飲み屋とは別世界のようだった。
「私個人ではラーメン屋の方が好きだけど、今の君を連れて行ったら逆に目立つ事請け合いだ。今日は私のおごりだから高いものでも遠慮せずお食べ」
その言葉にゼノンの顔色がパァァ、と音を立てて明るくなる。
ジェラの男前なセリフに素直に甘えたゼノンは普段食べ馴れないような高そうな肉料理やらワインやら、本当に遠慮なく注文してその高級な雰囲気と味を堪能し、4人用テーブル一杯にあった料理をほとんど1人で完食してしまった。
料理の美味しさにも驚いたが、ソレ以上にこの細い女性の身体に料理が全部入ってしまった事の方が驚いた。
食事が終わって二人でお茶を楽しんでいる中、ウェイターがゼノンの前に小さなワイングラスを置いた。
「こちらは女性の方のみのサービスになっております」
ワイングラスの中は品良く盛りつけられたアイスクリームだった。添えられたハーブの緑とアイスの淡い黄色の色合いが美しい。
「極上のクリームチーズで作ったアイスです。溶けないウチにお召し上がり下さい」
ウェイターが一礼して去っていった後、ゼノンは冷たいアイスを口に含んだ。
さっぱりした甘味と冷たさが舌の上に心地よく広がる。それは豪華な食事の締めくくりに相応しい味だった。
アイスの味を堪能しながら、食事の度にこんなサービスがあるのなら女の身体も悪くない。
自分だけでは無く周りまでも幸せになりそうな笑顔を浮かべ、ゼノンはデザートをもう一口くちに運ぶ。
何だかんだ言いながらもゼノンは女性の体をすっかり満喫していたのだった。
to be continued...
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