collabo 038 1/2




『真夏の果実』7


「まさかアレがサーちゃんと入れ替わる薬だっタなんて…」
 シェラサは鎖で雁字搦めにされてチェリルの待つ呪文研究所まで連行されると涙ながらに語りだした。
 要約するとこうだ。

 いつものようにシェラサが某所に遊びに行くと、たまたま新薬開発に成功したシーンに遭遇した。
 なんの薬だかは知らないが、薬はピンクと紫ニ種類ある。一つ位持ち帰ってもどうせバレやしないだろう。
 シェラサは紫色の薬品とブドウジュースを入れ替えると、そのままピルム城へと帰還して、イタズラを仕掛けた時に一番面白いリアクションをする男───ゼノンに深夜一服盛ってやったのだった。
 だが、どんなに様子を見守ってもゼノンのからだが変化する様子はない。ゼノンの観察に飽きたシェラサはそのまま自宅に一度帰ったのだが、ゼノンの変化はその後から起こったようだ。
 そしてゼノンの身体は変貌を遂げ、現在に至ると言う訳だ。

「なるほど、パクって来たはいいがシェラサは効果を全く知らなかった訳だ」
 全てを納得したようにジェラが頷いた。
「つーか某所ってドコよ」
「ソレ以前にサーちゃんって誰だよ」
 チェリルとゼノンが同時に裏拳でシェラサに突っ込んだ。
「ヲトメのヒーミーツー」
「「誰が乙女だこの徘徊老人め!」」
 二人の裏拳が同時にシェラサの顔に飛んだ。
 呪文研究所の机の上には桃色と深紫の液体が入った小さなビンが一つづつ置いてある。
 肉体と精神を入れ替える魔法薬だ。
 ジェラとゼノンが城下町のあちこちを巡っている間に、チェリルはしっかり魔法薬の復元を成功させていたのであった。
「じゃあヲトメのヒミツの某所とサーちゃんの素性は敢えて問わないからさ、その某所に行ってゼノンの身体に入っているサーちゃんを連れて来てくれないかな? ソレだったらできるだろう?」
 ジェラは幼い子供に聞かせるように優しくシェラサにお願いした。だが───
「それは出来なイです」
「どうして!?」
「ワタクシ1人ならトもかく、帰りに誰かを連れ帰るナんて事、あの場所からは不可能です」
 それではゼノンとサーちゃんと呼ばれるこの女は一生このままということか?
「デすが、このゼノンきゅんを向こうに連れて行く事なら…モシカシたら出来るかも……」
「何ソレ? 連れて行くのも連れ帰るのもどっちも一緒じゃないの。何で出来ないのよ」
 チェリルがうさん臭そうな顔でシェラサを見やる。それを宥めていたゼノンは覚悟を決めて頷いた。
「俺、行こうと思う。シェラサについて行って俺は俺を迎えに行く」
 ゼノンは豊かな胸の谷間に2色の薬ビンを入れるとシェラサを縛る鎖を解いた。
「連れて行ってくれシェラサ。頼む」
「ヨクおっシャイましたゼノンきゅん」
 シェラサはにっこり微笑むと振袖の袂から細い布キレを取り出し、ゼノンの両目を隠すように巻いた。
「な、何すんだ!?」
「目隠しプレイー」
 この後に及んでまだそんな悪ふざけをする気か。
「それはジョークでスガ、某所までの道を覚えらレたら困るノデす。
 ワタクシが手を引いテアげますから、ゼノきゅんシツカリ付いて来てクダさいねー」
「行って来ます陛下! チェリルも土産買って来るからなー」
 目隠しされたゼノンはシェラサに手を引かれるままに行ってしまった。
「なんかアレを彷佛されるわよねー。牛売りの唄」
「悲しそうな瞳は目隠しされてて見れないけどねぇ」
 連行される時のゼノンの揺れる乳をみて、チェリルとジェラの脳内でもの悲しげなメロディが流れたのだった。

   *   *   *

 ゆらゆらうごめく足場の悪い地面を、目隠しされたままでひたすら歩く。
 一応シェラサに手はひかれているが、「そっチは足場がナいカら落ちマすよ」だの「ワタクシじゃない手に引かれて勝手にドッか行かないデクださい」だのいわれると、ゼノンもだんだん不安になって来る。
「なぁシェラサ…」
「ドコ歩いてるのかなんて質問はナシですよ。ワタクシだって正直わカラないンデすから」
 ゼノンに何か言われる前にシェラサは先手を切り出した。




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