order book 001 4/5
何? 何なんだ??
思い当たる節がちっともないのにどうしてここまで言われなきゃならねぇんだよ!
俺、なんか悪いことしたか?
飲んで会いに来るなんて割といつものことだし、時間が不規則なのも承知のはず。
いつもそんなことで怒る事もないのに、今日に限って一体どうしたっていうんだよ。
さすがの俺もぷちんと切れた。
腹の下のほうからもりもりと怒りが湧き上がる。そして湧き上がってきた怒りはそのまま口から飛び出した。
「何なんだよ、さっきから! バカとかアホとかボケとかカスとか!」
ヒートアップした感情がそのまま口から飛び出したような勢い。
それに負けじと真知は自分の指にはまっていた指輪をすっと抜き、俺に向かって投げつけた。
それは結構なスピードで俺の頬に当たってから下にトン、と落ちた。
危ねえだろ! と言いながら俺はその指輪を拾い上げる。
「テツのバカっ! それ持って出てってよ!」
今まで見たことのないくらい、真知の顔は悲しみにあふれていた。
その顔を見てハッとする。"俺が泣かしてる・・・"とそう気づいて我に返った、とでも言おうか。
真知はソファの背もたれに顔をうずめて、声を殺して泣いている。拾い上げた指輪、これって確か去年の誕生日にプレゼントした、
・・・・・。
あ゛ー!!!!!
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テツの様子が目に見えて変わった。
やっと、思い出してくれたんだろうか。
こんなことでうだうだと拗ねてる私も私だけど、涙が止まらなくなっちゃったんだもの仕方ないじゃん。
一年に一度しかない私にとっては特別の日。
始まったばかりの時間に来られちゃ、期待だってするでしょう。
それを「なんとなく来てみただけ」と言う言葉で片付けられてしまっては涙だって出てくるよ。
もう、終わっちゃったけどね。
私の誕生日。1時間ほど前に。
「・・・ごめん、真知。俺すっかり」
忘れてたんだ、しっかりと。
私が去年もらった指輪投げなかったら、思い出しもしなかったんでしょうね。
前振りで送ったメールも、全然役に立たなかった訳だ。
「ホントにごめん。機嫌直して・・・って無理かあ」
私はソファの背もたれから目から上だけを出してテツの様子を伺った。
さっきまですごい勢いで怒りを口から吐き出していた人とはとてもじゃないけど思えないほどしおらしい態度で、テツは私に向かって一生懸命頭を下げる。
けれども、私の顔はきっと恨めしさ全開になっていることだろう。私のその表情を見たテツが今度は泣きそうな顔になった。
「ホントにホントに悪かった」
しばらくの間、ひたすら謝り倒すテツ。それに対して無言の私。
一体どの位の間誤り倒すか見ていてやろうと思って、大方怒りは収まっていたものの、わざと私は無言で通していた。
すると、誤り倒しても許してもらえないと思ったのか、テツはどこからか時計を持ち出してきて針を10時の所までくるくると戻した。
「時計の針を戻したから、今は14日の午後10時」
どうやら、誕生日のやり直しを提案している模様。頭の中のハテナマークを振り払いながらテツの顔を見る。
「あんまり大したもんできないけど、用意するから」
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