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 待ってて、そういうとテツはキッチンを漁り始めた。
 冷蔵庫の中から牛乳と卵、戸棚の中からホットケーキミックス。手早にボールで混ぜて、フライパンで薄く延ばしてクレープに。
 そして、これしか思いつかなかった、ごめん、とまたひとつ謝ってから私の前にあるテーブルに出来上がったものを持ってきた。
 お皿の上には六つに折られたクレープが花のように丸く並べられていて、テツはそこに無理矢理ロウソクを挿そうとしていた。

「倒れちゃうから挿さなくてもいいよ」

 私がそういってロウソクを立ててる手をさえぎると、テツはまた「ごめん」と言った。

「もうそんなに謝らなくてもいいから」
「うん、ごめん、・・・あ」

 私とテツは顔を見合わせて吹き出した。
 ソファに二人で座りなおすと、テツは私の肩に手を回した。喧嘩の後だからだろうか、珍しく緊張してしまう。
 肩に回された手がさりげなく髪に触れたり、膝と膝がこつんとぶつかったり、いつものことなのに何気ない接触を私は妙に意識してしまっていた。

 テツは肩に回している方ではない手で私の手を握り、掌をなでながらどのくらい私のことを大事に思っているかという事を切々と語り始め、
 さっき私が投げた指輪をもう一度私の指に戻すと、少し照れながら「そんな訳だから。生まれてきてくれて、ありがとう」と言ってくれた。

 クレープの中にはストロベリージャム。
 きっとこの先、ストロベリージャム味のクレープを食べるたびにこの日のことを思い出すだろう。

 時計を戻してまで祝ってくれてどうもありがとう。
 また来年も一緒にいて下さい。


 -fin-


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