order book 013 2/2
使ったお皿を片付けた後で、真知はカフェから持ってきたテイクフリーのタウン情報誌を読み始めた。
表紙にはでかでかとグルメ特集の文字。
まだ食べる気か?
空は雲ひとつない晴天で、ベランダに干された布団はすでにほかほかの仕上がりだというのに、出かける気配なし。
時々雑誌に向かって妙な奇声を上げている真知の横で、俺は掃除のために取り外されたゲームの配線を整えてスイッチを入れた。
しばらくそれに夢中になっていると「はぎゃー」とベランダから聴こえてくる。
どうやら干した布団を取り込もうとしているらしい。
手伝うのが男というものなのだろうが、これはどう考えても見ていた方がおもしろい。
というわけで、ゲームをポーズ状態にして、俺は観葉植物と並んで真知を背中から眺めることにした。
「んぎゃふ」
手で持つのを断念したのか、真知はほかほかの布団を頭にかぶせながら部屋に入ってきた。
これは…悪戯心に火がつくってものでしょう。
ってことで俺、視界が微妙だろう真知の背後について行って、背中から攻撃しようかと思ったら…。
突然振り向いた真知は、布団をぼんっと投げてよこした。
「ぬおお?!」
そして「ソレ、直しておいてね」と言って笑った。
もちろんー何かしようとしたでしょうーと言いたげなにやにや顔で。
布団を直してからもう一度コントローラーを握ると、俺の隣にしゃがみこんだ真知がわざと画面が見難い位置で俺を覗き込む。
「今日、何食べたい?」
「おまえさん」
俺はゲームの画面から目を離さずに、真知が遮る場所を避けながら応える。
「………黙れ」
「ハイ。まだお腹すいてません」
「そう? じゃあとりあえずアイスでも食べよっと」
「待て! 食べるなら俺の許可がいる!」
「はあ? 私が買ってきたのに?」
立ち上がろうとした真知の服の裾を引っ張ると、片手でコントローラーを操作しそこなってあえなくゲームオーバーの文字。
うぬぬ。
俺はコントローラーを放り投げて、今度は真知の腰を両手で掴みながら言った。
「………太ったよな? やっぱりちょっともう一回触らせ…」
今度は指先じゃなくて、手のひらごとキャミソールの中に進入させてみたら、それを手で退けながら真知は「だーかーらー…だったら私にも触らせろー。ほれ、そこ、どこ、何? あひゃひゃ」と、本気で反撃し始めた。
「やめれー」
服は完全に捲れ、楽しげな笑い声の中で俺はくすぐったさに悶えるしかない。
さて?
それからどうしたって、俺を刺激する手を掴んで本領発揮。
ほかほかに干された布団に真知を運ぶなんぞ、朝飯前なのだよ。
今日のこの天気のいい午後にーといってももう夕方に近い時間だがーベッドに放り投げられた真知が「ぎゃふん」と言ったのは聞き逃さなかったぞ。
ま、いいからちょっと黙りなさいよ、ね?
-fin-
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