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『夜明け前』


「ゆうじー。飲んでる〜?」

 飲んでるよー…と言いたいところですが、
 アナタがそんなにべろべろじゃあ、
 飲むに飲めないでしょうが。

 いくら、友達とはいえ
 アイツらと同じ扱い
 ―つまり、その辺に捨てて帰る―
 なんて、できるワケないしねえ…。

 仮にもオンナノコでしょ?

 …ってそんなことを言おうものなら、
 きっと
「男女差別だー!」
 とか言ってぷりぷりすんのは、
 目に見えてるし。

 そういうところが
「かわいい」なんて思ってることは
 内緒だけれど。

 言えっこないじゃないですか!

 いい「飲み友達」で、
 音楽の趣味も合って、
 居心地のいいこの空間。

 これを失うなんて、
 想像もつかない。

 そんなこと、
 君は知らないだろうけれど。

「ゆうじー」
「あー、はいはい。何ですかー?」
「うへへへへー」

 何よ? 何なのさ、その笑い。

「あーのーねー」
「なーんーでーすーかー?」
「すき」

 ………。

 はい?

 なんですと?

 おいおい。
 その目はナニ?
 潤んでるし。
 きらきらだし。



 ここで逃げたら男が廃るってもんでしょ?



 無言で真知の腕を掴み、
 店を出る。
 意外におとなしく着いてきた彼女と
 タクシーに乗り込み
 行き先を告げる。

 そのよく耳にはするけれど
 行ったことのない場所に、
 瞳を丸くして、俯いたのは真知。

 とりあえず、
 夜が明ける前に
 彼女をこの手の中に。

 このテリトリーに入ってきたのは、
 紛れもなく…真知、君だろ?


 君となら、
 孤独も憂鬱も
 わけあえる。

 君のこの腕を
 離すつもりは毛頭ないから。
 君もそのつもりで。

 I just want to be your man.
 I can make you feel alright.


 -fin-


image song : The Gospellers 『MIDNITE SUN』

special thanks for 蜜@【琥珀堂】
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