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『閉じた目蓋に浮かぶのは』
「…くっ…」
真知が切なく苦しげな声をあげる。
「…真知…?」
「…キツっ…ゆうっ……んあっ」
「ヘンな声出さないで下さいよ」
「…だって…雄二が…っ…」
「俺が何です?」
「…キツく…するから…」
「真知が先にキツく閉めたんでしょう?」
「…違っ…バカっ…」
「バカー?」
「ん…もうっ…はぁっ」
真知は眉間に皺を寄せ、目をぎゅっと閉じて「んんんっ」と声を漏らす。
真知…なんて声出してんだか…
俺はベッドサイドの灯りに照らされた真知の顔と、きつく閉じられた目蓋を見た。
その目蓋に、今何が浮かぶんだろう。
俺のことなのか、それとも――
「ゆうじっ…、もうダメっ」
真知の声が上ずる。
「ん?」
俺はニヤニヤしながら真知の顔を覗き込む。
「やっぱり開かないッ、ペットボトルの蓋ッ」
ベッドにだらりと寝転がっていた俺に、真知が真っ赤になった手でペットボトルを投げてよこした。
至近距離でのスローイングに危うくペットボトルを取り損ねそうになりながらも何とかキャッチする。
ベッドの脇で顔と手を真っ赤にしている真知に、
「なんだ、結局開けられんのか?」
と俺はニヤニヤしたまま聞き、ペットボトルのキャップをひねると「ほいよ」と真知に手渡す。
「こんなにキツく蓋しなくたっていいでしょ!? 嫌がらせ!?」
「中身の美味しさが抜けないようにっていう配慮だろうが」
「炭酸じゃあるまいし、関係ないでしょッ」
「俺の優しさが分からないかなー真知には」
真知は「ふんっ」と鼻息で反論して、ペットボトルのウーロン茶を一気に飲み干した。
-fin-
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