order book 030 2/2
――私が知る彼女なんて微々たるものだし、だからといって根掘り葉掘り聞き出そうとは思わない。いつか彼女が話してくれる時が来るかもしれないし、逆にいつか私が話す時が来るかもしれない。
過去のこと、これからのこと。昨日のこと、今日のこと。いつかの恋、いつかの涙。
まあ、そんなものだ。そうして重ねてゆく月日が気付くととても長い時間になっているかもしれないし、もしかするといつか途絶えるかもしれない。
何かの拍子に振り返ってみたら、それがとても大切なものになっているかもしれない。もちろんそうであることを願うのだけれど。
いつまでもずっと仲良しでいようね、なんてとうに言わなくなった私たちだからこそ、日々の流れを、日々の出会いを、そこに流れたゆたう言葉のひとつひとつを真摯に受け止め、慈しむのだろう。
私は音を立てないようにそっと階段を上がり、カフェの入口に持ってきたカードを添えた花束を置いた。
――また新しい1年を、どうぞ貴方らしく。
柄にもないことを思ったせいか、階段を1段踏み外して危うく転落の危機を味わった私は、逃げるように自宅に向かった。
-fin-
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