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 雑踏をかき分けて俺が守るべき空は、低く重い灰色ではなく、淡いピンクの花柄と、温かくて小さな肩。
 室内の空調よりも、苦くて熱いコーヒーよりも、ほろりと胸の痞えを溶かす、体温。
 信号を渡りきったところで、人通りの邪魔にならないように立ち止まった。日暮れて賑やかになりだしたネオンが、遠くの方で虹色の煌めきを見せている。

「お腹空いた?」
「ん、ちょっと」
「ごはん食べに行こうか」
「私、作るよ?」
「うん、それは明日の朝ごはんがいいな」

 小さな会話を聞き漏らさないように顔を寄せ合う。俺の頬に落ちた雫を彼女の手が拭い、俺は彼女の肩の上、細い髪の先を彩る雫を掃う。
 ――彼女がくすりと笑うと、そこだけ世界が色を変えるようだ。
 雨が降っていてよかったと思いながら傘に隠れて唇を寄せると、咎める目をしながらも、彼女はそっと瞼を伏せた。


 -fin-


reproduced 【Hallelujah】

special thanks for 大和@【Hallelujah】
plan : 大和
scenario : 真知
copyright(c)2009 チーム略奪愛 all rights reserved.

[theme : 傘の花]
8sites joint project 『君を恋ひぬ日ぞなき』vol.ex
deviser ヒロコ@【五鍵】




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