board meeting 003 1/1
『Silent U』
気だるく横たわるその体の、湿りを帯びた肌の感触が好きで、いつまでも触れている。天頂にあった月も今はかなり傾いて、男の行為を邪魔するものは何もない。
仄かな月明かりに白く浮かびあがった肌は滑らかで、例えようもなく美しかった。乱れ絡んだ長い髪が枕に沈んだ頬を縁取り、そこから男の二の腕に流れている。もっと傍で見ていたくて半身を起こした男の動きにベッドが軋んで、恋人がゆっくりと目を開いた。
ガラス越しの月光をその身で遮って、呼吸の触れる距離まで頬を寄せる。
まどろみから完全に抜け出さないままで彼女は男を見つめ、細い指先をその首に添わせて微かに笑んでみせた。――口づけをせがむ、その仕草。
そっと呼吸を重ね、抱(いだ)き合う。
「君としか、こんな気持ちにはならない」
吐息を繋いだような告白は低く、穏やかで、愛しさに満ちていた。それを耳元で聴いて、幸せそうに彼女は笑う。
わたしには、とふいに悪戯な視線で、一言。
「もう貴方しか、見えない」
月だけが、そんな二人を見ている。
-fin-
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